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インプラントについて

インプラントは1962年以来、人の歯に置き換わるものとして研究・改良を繰り返されてきました。そして年々症例数も増え、現在では失った歯を補う方法として第一選択とされています(もちろん禁忌症を除く)。

そんなインプラントですが、「一生もつんですか?」とよく聞かれます。世の中には「一生もちますよ。」と平然と言って金儲けをする悪徳歯科医もいるかもしれませんが、僕はそう思っていません。

もちろん高い治療費を払ってまでしっかりと噛みたい、キレイに治したいと考えて決断されるわけですから、高度な知識と技術をしっかりと身に着けておくのは当たり前です。そして常に情報をアップデートしながら最善のメインテナンスを行っていかなくてはならないと考えています。

しかし、それでもインプラントの周りの骨が吸収してきたり、インプラントと歯茎の間から膿が出てきたりすることもあるようです。身体が健康で全身疾患もない場合は完全に技術的なエラーと考えて良いでしょう。オペ中の感染だったり、上部構造(インプラントの歯冠部分)の不備が原因と考えられます。しかし、高血圧や糖尿病などの全身疾患のある方や向精神薬などの薬を飲んでいる方のインプラントのトラブルには上に記したものの他に重大な原因が潜んでいます。

事故などの外傷や歯を失われた方を除いて、インプラントにならざるを得ない理由として、歯周病で歯を保存できない、虫歯が進行して保存できない、差し歯にしたら根っこが割れた、根の治療がうまくいかず保存できない、などが挙げられます。結局、歯周病と虫歯がなもとの原因です。

どちらも慢性病変なので適切なアドバイスのもとで食生活や生活習慣を改善することで予防できます。しかし予防することなしに、「この歯は残せないからインプラントを入れましょう。」なんてことは下衆の極みで、そんなインプラントは一生持てばラッキーです。ギャンブルです。そもそもの予防が確立してない状態でのインプラントは再治療による高い代償を払うハメになります。

インプラントの周囲歯肉の炎症も歯周病も原因は同じです。それは、「免疫力の低下」によるものです。口腔内常在菌である歯周病菌は消えてなくなることはありません。歯石を除去したりプラークコントロールを徹底することで状態を保つことも重要ですが、それでもさらに免疫が低下してしまうと歯周病菌の感染はどんどん進行してきます。そしてしまいには骨を吸収させてしまったり、膿が出てきたりするわけです。

結局、高い免疫力を維持することは歯周病や虫歯を予防することのみならず、全身的な慢性疾患も予防することができます。そのために必要なことはまず、身体の栄養状態を改善し、免疫を落としうる食品をできるだけ避けること。糖の摂取を抑え、ホルモンバランスを整えることがとても重要です。そもそも歯を失う前に、歯を削る前にそのことに気づけてさえいれば、一生自分の歯で食べ物を噛むことができるんですけどね。

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