ヒポクラテス
皆さんはヒポクラテスという人をご存知でしょうか?西洋における医学の原点とも言える医師であり、後世に多大なる影響を与えました。
僕が通っていた大学にも「ヒポクラテスの誓い」なる医の倫理を説いたものが廊下に掛かってましたし、授業でも習った記憶があります。
しかし、ヒポクラテスが何をして、どんなことを考えていた人なのか考えたこともなかったし、知る機会もありませんでした。予防学を深めていくと何故か古代の医学に行き着いて、ヒポクラテスを学ぶ機会を得たので少し紹介したいと思います。
ヒポクラテスは紀元前3~4世紀のギリシャのお医者さんです。
彼の医学は直感的なインド医学や中医学と比べてより実証的、科学的であったため、モノの見方が西洋人とマッチしてヨーロッパに広がりました。
彼の死後、アレキサンドリアの学者たちがまとめたヒポクラテス全集において病気に対する考え方を説いていたので引用します。
「病気は悪魔のしわざでもなく、また気まぐれに起こるものでもない。病気はむしろ自然の法則に従う自然力によって起こるものである。だから治療法も自然の法則に基づいて発達すべきものである。その方法としては摂生、食養生、薬、外科手術などによって自然の法則力に従って病気の原因を正すようにしなければならぬ。人間の健康は、空気、水、住む場所なども含めた環境の影響、摂生などによって保たれる。だから環境が人体にどのような影響をおよぼすかをよく心得ることが医者たるものの最も基本的な条件である。」
彼の医学は健康な状態を、病気にならないように保つこと。「予防」を重視しています。そして、人間が本来備えている治癒力を最大限に引き出すことを教えています。この考えの元となっているのは、もともと原始時代では食べ物によって命を落とす人が多かったことに始まります。何が食べられて、何が食べられるのか、そしてどのような調理法をすれば良いのか。ヒトは長い年月をその思考に費やしてきました。そして、食べ物により詳しい人がギリシャの医師の源泉であったと言われています。
僕が、ヒポクラテス医学の素晴らしいと感じるところは
1.治療医学ではなく予防を重視していること。
2.病気を治すのは医師でなく自然治癒力であるという考え。
3.食事療法を治療の根本としていること。
4.環境と疾病の関係を調べることを重視していること。
5.医師の倫理を説いていること。(学校に貼ってあったやつ)
なのですが、東洋医学の考え方に近いと思います。そして現代の西洋医学とはかなりかけ離れているようです。
「ヒポクラテスの誓い」
- この医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて、必要ある時には助ける。
- 師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。
- 著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を師や自らの息子、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
- 自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。
- 依頼されても人を殺す薬を与えない。
- 同様に婦人を流産させる道具を与えない。
- 生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。
- どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。
- 医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。
金満主義の製薬会社や医師・歯科医師が利益を追い求めるあまり、医学自体の方向性が狂っているのだと思います。このままずっとこの誓いは理想論でしかないのでしょうか?本当に大事なのは、患者を第一に考える姿勢のはずですが…
僕達が学校で習った西洋医学の教科書には「自然治癒力」という言葉は全く出てきませんでしたし。
ちなみに「予防」は保険が効かないってみなさん知ってました?一番大事なことなのに国は認めてないんです。
つくづく日本って変な国ですね。