歯列不正
皆さんは、自分は歯並びがいいと思いますか?それとも悪いと思いますか?
今、この世の中に歯並びが本当にいい人はわずかしかいません。しかし、多くの人は自分の歯並びを問題ないと思っているのではないでしょうか?僕は人に歯並びを褒められることが稀にあるのですが、自分で歯並びがいいと思ったことはありません。それは、様々な問題点に気がついているからです。
矯正治療を行った人の中にも、歯並びの悪い人はたくさんいます。なぜなら、歯並びがいいということは、しっかりした機能が果たせていないといけないからです。
一見キレイに並んでいるように見えても、前歯が全く噛んでいなかったり、右で噛みにくくて左ばかりで噛んでいたり、その逆だったり、あるいは前歯しか使っていないような人もいるのではないでしょうか?
その原因としては、以下のものが挙げられます。
①骨格的に問題がある。
②筋肉に問題がある。
③過去の歯科治療に問題がある。
④生活習慣に問題がある。
①は上顎と下顎のバランスが乱れていることを示します。上顎・下顎それぞれ大きかったり、小さかったり、あるいは左右のバランスがズレていたりしていることです。当然骨格に問題があれば、そこから萌えている歯の噛み合わせが安定するはずがありませんね。
次に②の筋肉ですが、歯の位置はある程度、筋肉の状態にも影響を受けます。歯並びはアーチ状になっています。そのアーチの内側から舌が押し広げようとする力が働き、外側から口唇や頰粘膜によってそれを押さえつける力が働きます。それらの調和した位置に歯は位置します。ほとんどの場合、舌の機能が弱いため歯並びのアーチが狭窄し、並びきらない歯がガタガタになります。あとは唇を噛む癖や指しゃぶりなどの習癖なども歯並びに大きく影響します。
③はとても悲しい現実ですが、かなり多く存在します。僕が歯医者になりたての10年ほど前は、すべての歯をセラミックにしていかに美しく仕上げるかを競うような風潮がありました。歯を失って全部インプラントにしたようなケースはともかく、見た目を良くするためだけに歯を削って被せるという愚かな行為をする歯科医がたくさん出現しました。もちろんセラミックは自由診療ですから非常に高額です。しかし、金に目のくらんだ一部の亡者たちは、女性誌や美容系の雑誌に広告を出し、今もそれを継続しています。
なぜ、被せ物で歯並びをキレイにしてはならないのでしょうか?それは、歯は削ってはいけないからです。いくらお金をかけて削って詰め物をしたり、被せ物をしたりしてもそれは歯と決して同化するわけではありません。異物ですので年数が経てば、必然的にやり直すことになります。しかし、早くダメになってしまっては歯科医も困ってしまいますので、反対側の歯にあまり強く機能させなかったり、当たらないようにして長持ちさせようとします。しかしその結果他の歯に負担がかかって、最終的には抜歯に至るようなこともあります。ですので、歯並びは削って被せるのではなく、適切な矯正治療でしか改善できないのです。
そして④は以前にも取り上げましたが、プライス博士の研究より、精製されていない自然な食品を摂取し、栄養状態をしっかり維持している人々(先住民族)にはほとんど歯列不正が認められないということです。細かく考えていくと上記の①・②もこの範囲に入るでしょう。それは、子供の成長発育にはまず妊娠時における両親の栄養状態がとても重要です。多くの民族では妊娠前の両親に特別な栄養(高タンパク・高脂質・ビタミンA.B群.D.E.K.や鉄などを多く含む食事、多くは甲殻類や魚卵、動物の血液や内臓)を優先的に摂取させていたそうです。そして母親は妊娠中から授乳期まで栄養に気を使った食事を行います。こうして、先住人族は伝統的に栄養を理解し、歯並びが良く虫歯にも病気にもなりにくい体を手に入れてきたというわけです。
さらに生活習慣といえば食事中のコミニュケーションも非常に重要です。食事の際に子供によく噛んで食べなさいと指導したところで、親が早食いでは全く意味がありません。そしてその子供が早食いになる原因を作ったのも親なのです。子供が噛めもしないうちから大人と同じものを食べさせていると噛まない癖がついてしまいます。いつも親が子供の見本になっています。親(大人)が正しい知識を持つことでコミニュケーションの質は上がります。自分の思い込みを子供に伝えるのではなく、正しい知識をしっかり子供に伝える義務が親にはあると思います。
今の生活習慣や食事を今一度見直してみる必要があるのではないでしょうか?妊娠したらマックのポテトが食べたくなるとか、アイスキャンディーが食べたくなるとか聞いたことありますが、それは子供のためではなく、ジャンク中毒の自分のためですよね?
結局のところ、歯並びは矯正で改善するしかないのですが、予防することは可能です。予防するかしないかは自分たち(妊娠前の親)次第ですが、幼少期であれば矯正以外の改善作もあるかもしれません。気なる方は一度相談にいらしてみてくださいね〜♪