牛乳④
青い空、綺麗な水と澄んだ空気、青々とした草の生い茂る広々とした牧場、清潔で手入れの行き届いた牛舎。。。そんな環境で育った牛の牛乳や肉を僕たちは口にすることがあるのでしょうか?はっきり言って、一般的な食卓にはまず上がってこないでしょう。大量生産されている牛乳のウラにはもっと過酷な現実が存在しています。研究者の中には地球上で最も過酷な労働を強いられている動物が乳牛だという人もいるくらいです。
まず、一般的な乳牛の一生を追ってみましょう。乳牛は誕生してから1年2〜4ヶ月まで体を大きくするために育てられます。そして人工授精で妊娠させられます。そして約280日間の妊娠期間の末、出産します。そうするとミルクが出るようになるのですが、産後5日目までの『初乳』は子牛に飲ませます。人間のための搾乳は出産後6日目から開始されます。搾乳期間は300日間とされています。母牛は産後2〜3ヶ月後には再び人工授精により妊娠させられます。搾乳が300日を経過した牛は、出産を控えているため乳を絞らず体を休めさせます(乾乳)。乾乳の期間は約2ヶ月なので、(産後6日)+(搾乳300日)+(乾乳60日)が乳牛の365日となる計算です。そのサイクルは4〜6回繰り返され、搾乳量の低下した牛は廃牛(食用)となるのです。一般的な乳牛は年間8000〜10000リットルを搾乳されます。そして、平均的な母牛の寿命は約5年です。体を酷使する乳牛は感染症への耐性も低くなるため、エサには抗生物質を含ませることもあるようです。牛の『白い血液』である牛乳には当然、抗生物質が残留することもあります。そして、生産者はエサ代をなるべく抑えたいため、トウモロコシなどの遺伝子組み換え作物(GMO)を牛に食べさせます。このような仕組みになっている理由は、『大量に安く供給するため』であり、ゆったりとした自然のスピードとはかけ離れたものになっています。
そして注目すべきは、搾乳されている牛の大半が妊娠しているということでしょう。妊娠中の牛乳の中には多くのエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが含まれています。これらのホルモンは牛も人間も同じ構造になっています。性ホルモンのようなステロイドホルモンは、130度の高熱滅菌でも壊れないことが明らかになっています。どんなに加工しようとも、ほとんどの牛乳は性ホルモンがしっかりと含まれています。山梨医科大学名誉教授である佐藤章夫先生はこうおっしゃっています。
『前思春期の子どもに毎日、女性ホルモン入り牛乳を大量に飲ませるということは、極言すれば、前思春期の子どもに低用量避妊ピルを毎日飲ませているようなものである。年端もいかぬ子どもに避妊ピルを飲ませる母親が果たしてこの世にいるだろうか。』
前思春期とは4歳ごろから10歳、11歳くらいまでの自立の第一歩を踏み出そうとしている段階の子供のことですが、この時期が最も性ホルモンの影響を受けやすいとされています。吉祥寺で何十年も『薬を出さない小児科医』をされている真弓定夫先生も、学校給食に出てくる牛乳を子供に飲ませないように指導し続けています。そして、真弓先生の治療法はしっかりと結果が出ています。
前にも書きましたが、僕は牛乳を30年以上飲み続けてきました。むしろ牛乳が好きで飲んでいました。今は健康上全く問題ないのですが、もし牛乳を飲んでこなかったらまた違う人生になっていたかもしれませんね。これからも病気の予防と、子供の健やかな成長のために、エビデンスのある正しい情報をお伝えしていきたいと思います。