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うがいで予防?

私たちは小さい頃から風邪を予防するためにうがい、手洗いをしっかりするようにと教え込まれています。うがいによって喉に付着した細菌やウイルスを洗い流すため、製薬会社から様々なうがい薬も発売されています。しかし、うがいの文化は日本だけのものと言われています。はたして今までおこなってきたうがいは正しかったのでしょうか?

うがいの効果は2005年に京都大学の川村孝教授によって明らかにされています。その論文は米国予防医学会機関誌(American Journal of Preventive Medicine)に発表されました。この中で、水によるうがいは風邪の発症を40%も抑えることができるが、ヨード(イソジン)によるうがいはわずか12%の抑制にとどまることが記されています。

市販されているヨードうがい薬には1ml中に7%の有効成分であるポピドンヨードが含まれており、ウイルス、細菌、カビに対し殺菌作用を示します。そのことが大々的にコマーシャルされ一般的に受け入れられるようになしました。ポピドンヨードはB型肝炎ウイルスやHIVにも作用することがこれまでの研究で明らかにされています。

しかし、その強い抗菌作用の反面、喉の粘膜の細胞を傷つけてしまうことや殺菌作用は常在菌にも影響することが記されています。動物の体の中には様々な常在菌が住み着いています。口の中には1000億個以上もいますし、皮膚には100万個以上、腸内には100兆個もの菌がいるとされています。ヨードでのうがいや消毒はこれらの常在菌を無差別でやっつけてしまうため、本来であれば風邪ウイルスの侵入を防ぐのに必要な常在菌もいなくなり、結果として体の防御反応が阻害されてしまいます。

そう考えてみると、マウスウォッシュやデンタルリンスといった市販されているものも同じことが言えると思います。口腔内には虫歯の原因菌であるミュータンス菌や歯周病菌以外にも様々な細菌がいます。これらを殺菌してしまうことで常在菌の防御作用が低下し免疫機能も低下させるため、細菌が繁殖しやすい環境を作ってしまうわけです。口臭が気になるためにマウスウォッシュを使用した人で、どんどん口臭が強くなった経験はないでしょうか?

さらに、マウスウォッシュにはトリクロサン、サッカリンナトリウム、塩化セチルピリジニウム、ラウリル酸ナトリウムなどの有害物質を含んでいるものもあります。毒をもって予防をうたうのはフッ素と同じです。個人的には外科処置をおこなった患者様でブラシを当てられない部位には毒性や刺激の弱いものをピンポイントで使用したりしますが、日常的に使用することはやめるべきです。

話が脱線しましたが、風邪予防のうがいの話に戻しましょう。世界最高峰の病院であるメイヨークリニックのDr.ハーゲンは『ティースプーン一杯の塩をグラス一杯のぬるま湯に溶かしてうがいする』ことが咳や喉の炎症を取り除くには効果的であると提案しています。食塩水によるうがいは、炎症を起こしている喉の組織から余分な水分を取り除き、痛みを和らげてくれます。また食塩水うがいによって、どろどろした喉の粘液がゆるめられアレルゲン物質・バクテリア・菌などが取り除かれるそうです。

なかなかシンプルですが、予防とは自然なもので行うことが最も身体に害がなく効果的なのではないでしょうか?目先だけの対症療法に惑わされず、そして科学的な製品やコマーシャルなどに騙されず、持って生まれた本来の免疫力を高めることが本当の予防であると改めて考えさせられます。

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