コレステロール、無罪!!
血液検査でよくコレステロールを気にする人がいますが、コレステロール値が高いと何が問題なのか明確に答えられる人はほとんどいないでしょう。
かつては悪者扱いされていたコレステロールですが、下げる必要はあまりないことや、食品に含まれるコレステロールは値にほぼ影響しないこと、値が高いほうが寿命が長いことなど、だいぶ世間に認知されるようになってきました。
それでも総コレステロールが220mg/dlを超えるとすぐにスタチンを処方する医師が多いのも事実です。
結論から言ってしまうと、コレステロールは何も悪くありません。
LDLやHDLは悪玉や善玉と呼ばれることがありますが、いずれもコレステロールや中性脂肪を輸送するための媒体の名称であり、コレステロールそのものではありません。
これはお客さんがたくさん乗ったバスや電車などを全部まとめて「人間」と呼んでいるようなものでとても奇妙な言い回しです。
では何を持って悪玉・善玉と呼んでいるのでしょう?
それは、変性または変形して血管の内皮に付着して動脈硬化などを引き起こす可能性を持ったLDLを悪玉、そうなる可能性が低く、むしろそういったLDLを回収する働きもあるHDLを善玉といっているにすぎません。
とはいえLDLが絶対に悪い存在かといえばそんなことはなく、あえて言えばLDLが事故を起こす可能性があるということです。
それはあくまで車を運転すれば事故る可能性があったり、歩道を歩いていれば車が突っ込んで来る可能性があるのと大差ありません。
事故が起きるには必ず原因があります。
LDLは血中濃度や様々なきっかけで小型化して血管の内皮に侵入してしまうことがあります。
あるいは血中に存在する活性酸素や余剰の糖と反応して変質したLDLになり、その結果コレステロールを配達する細胞がわからなくなってしまい、血管内皮にとどまってしまう場合もあります。
こうして血管内皮に定着してしまった変質LDLは、マクロファージなどの免疫系の細胞に捕食され輸送媒体そのものも崩壊します。
その状態が慢性的に進行すれば血管内皮が膨潤・糊化していわゆる動脈硬化となるわけです。
まだ研究されているトピックなので一概には言えませんが、LDLが暴走するに至ったのは、余剰の糖質や活性酸素などのLDL以外の外部要因の可能性が濃厚で、本来の姿のLDL自体に大きな欠陥があるわけではありません。
真の悪玉はLDLを取り巻く環境。つまり生活環境や食生活が問題なのであり、数値自体をコントロールすることに何の意味も無いことに気づくことが重要です。
コレステロールそのものは別に悪くないのです。