ネオニコチノイド系農薬
皆さんは、日本が世界で最も農薬を使用している国であることをご存知でしょうか?(近年では韓国が1位というデータもあります。)そもそも農薬とは、作物に使用する殺菌剤、防黴(ぼうばい)剤、殺虫剤、除草剤、殺鼠剤、植物ホルモン剤などの総称です。
海外から農作物を輸入する際、カビが生えないようにぶっかけているのもポストハーベスト農薬です。現在、TPPが大筋合意されたということで非常に懸念されるのは、この残留農薬の基準値も大幅に引き上げられる可能性があるということです。
そもそもTPPの一番恐ろしいところは「ISD条項」にあるといえます。ISD条項とは、商品を売りたい外国の企業が、日本の厳しい規制のせいで商品を売ることができないといった際に日本の政府を相手取り、損害賠償を求めることができるという取り決めのことです。つまり、海外の大企業はより多くの商品を売りたいがために勝訴することで日本の法律を変え、規制を緩和させることができるのです。事実、2012年に米韓FTAを締結した韓国はISD条項のために、1年間で畜産業の7割が廃業し、政府発表で63本、弁護士会の発表で187本もの法律改正を強いられました。
このISD条項については別の機会に書こうと思います。
日本は世界的に見ても残留農薬の基準値が最も緩い農薬大国であり、EUと比較して基準値は数10~数100倍も高いのに、TPPによってさらに緩和されるわけです。
農薬の中でも最も深刻なのがネオニコチノイド系農薬です。ネオニコチノイド系農薬は、水溶性で浸透性が高いため、効果が持続しやすいため頻繁に使用されています。ネオニコチノイド系農薬はこの高い浸透性により、根や茎、葉や実にも浸透するため、洗っても落ちません。さらに土壌深くに浸透し、水に溶け込んで流れていき、空気中にも拡散するため、作物やそれを食べるヒトのみならず、様々な生物に影響を与えてしまうのです。そして、この農薬は、子供の脳や神経などへの発達神経毒性も指摘されています。中でも、神経伝達物質であるアセチルコリンにこの農薬が作用することによって、小児の自閉症やアスペルガー症候群の増加を引き起こしていると報告されています。。
このため、EUに加盟する27カ国は2013年12月よりイミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムの3種類のネオニコチノイド系農薬の使用を禁止しました。
一方、日本はクロチアニジンの残留基準値は国際基準と比較しても50~2000倍と異常に高かったのですが、厚生労働省は2015年5月にこれをさらに緩和することを決めたのです。これはTPPを見越してなのか、圧力をかけられていたのか、理解に苦しみます。国民の健康を売り渡す行為以外の何ものでもありませんね。
いずれにしろ、スーパーに並ぶ野菜には使用した農薬が表記されているわけでもありませんし、この先どんどん規制が緩和され、より農薬で汚染された食品でいっぱいになってくるのでしょうね。何も考えてない人達は価格が下がって大喜びするのでしょうが、はたして自閉症の子供が増えてくることにも疑問を感じずに要られるのでしょうか?自分や家族や周りのヒトを守るのは、自分が知識をもつことだけであることをより多くの人に気づいてもらいたいものです。そして、こんな馬鹿げた仕組みを早く取っ払うための行動を起こさなければならないと考えています。