健康観について
日々診療を行う上でいろんな健康観があるんだな~ってつくづく思います。
クリニックにかかってくる電話でよく耳にするのは、「今痛いから、今日痛みをとってもらえませんか?」とか「被せ物がとれたからすぐつけてもらえませんか?」「薬だけもらえませんか?」など、その場しのぎで対症療法を希望する声です。
当然、事故的に歯が折れたり、脱臼したり、歯肉が腫れたりした場合は応急処置が必要です。しかし、症状のほとんどには必ず原因があることを考えることも無く、ただなんとかして欲しいと要求する人がなんと多いことか。
僕のクリニックでは、痛みというのはその人の生活習慣や生き方を見直す良いチャンスであると捉えます。「木を見て森を見ず」を言う言葉もあるように、症状だけにフォーカスしてしまうと原因は残したままになり、必ず同じ状況を繰り返してしまいます。
例えば虫歯一つにしてもできる理由があります。口腔内には個人差はありますが数千億~数兆もの口腔内常在菌が存在していると言われています。しかしその中に虫歯の原因になる細菌がほとんど存在しない人もいるし、めちゃめちゃ多い人もいます。その時点でリスクも違うのですが、それだけで虫歯ができるわけではありません。その細菌を取り巻く果糖の存在や唾液の質などの環境によって虫歯ができるかできないかが変わってきます。ですから虫歯を治療すると同時に環境を変えないと必ず再発してきます。
細菌学の開祖であるルイ・パスツールは食品の腐敗や病気の原因には細菌が関与していることを突き止め、ウイルスの培養やワクチン開発など輝かしい実績を挙げました。しかしパスツールは晩年こんなことを述べています。
「私の細菌理論は間違っていた。細菌自体よりも、細菌を取り巻く環境が病気を左右するのである。」
つまり環境を改善していくことが、病気の根本的な対処法になるということですね。その環境とは、免疫つまり栄養状態・代謝であり、食事であり、感情からくるエネルギーの流れであったりします。
そのために重要なのは今の自分自身をしっかり把握して理解してあげることです。今の西洋医学では残念ながらそこまで考えることはありません。そのため病気を繰り返し、日本の医療費もどんどん膨れ上がっているのが現状です。
病気になることで人はそれまでの生き方を見直すことができて、それまでと違った幸せな道を歩むことができます。病気や症状を身体からのメッセージとして受け取ることで、より身体に感謝することができるでしょう。
生活スタイルなどの変化を嫌う人は確かに多いですが、症状だけを抑えることや薬でなんとかするという考えを変えて、根本から健康になることを実感する人がどんどん増えて来るといいなと願っています。
そのために僕は日々勉強を積み重ねながら、矯正やインプラント・全体的なかみ合わせなどの治療技術を磨き、より精度の高い処置ができるように努めていくのです。