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牛乳③

今回は、世界の育児に大きな影響を与えた『スポック博士の育児書』の内容を紹介します。その中に興味深い内容があり、また歴史の変遷も垣間見ることができます。アメリカの小児科医ベンジャミン・スポック(1903~1998)が著したこの本は、初版は1946年で42カ国語に翻訳され世界中で5000万冊も販売された育児書です。
実は日本の母子健康手帳および副読本は、日本の3大乳業によって、この育児書を参考にして作られたそうです。
アメリカでは2004年に第8版が発売されましたが、日本語の翻訳は第6版までしかないようです。そして、日本語版での牛乳に関する文章は初版でも最新版でもほとんど変わっておらず、日本語の最新版(原著第6版)には次のように書かれています。
『牛乳には、人間の体に要る、ほとんど全部の成分が、含まれています。つまり、蛋白質、脂肪、糖分、ミネラル、それに、たいていのビタミンが入っています。
もっとも、よくバランスのとれた食事をしている子なら、牛乳をのまなくても、他の食べものから、こういった大切な栄養素をとることができますが、カルシウムだけは例外です。 牛乳は、カルシウムをたっぷり含んでいる唯一のたべものなのです。だから、どんな形にせよ、よちよち歩きの子には、一日に450cc~560cc、もっと大きい子には、700cc­~950ccの牛乳を与えなければいけないのです。
といっても、こどもは、日によって、また週によってほんの少ししかのまなかったり、とてもよくのんだり、ムラの多いものだということを忘れてはいけません。いつまでも牛乳をのませようとおもったら、あまりほしがらないときは、しばらく少しにしてやればいいし、まったくのみたがらないときはそっとしておくことです。けっして無理じいをしてはいけません。ただし、二、三週間たっても、まだ700ccにもどらないときは、牛乳を使う料理を考えるなりして、食べさせる工夫をしてください。』

(引用おわり)

このようとても肯定的な内容でした。ところが博士が亡くなった年である1998年の第7版では正反対の内容となりました。スポック博士は、「自然界には、離乳期を過ぎてミルクを飲む動物はいない。人間も同じで、離乳期を過ぎたらミルクを飲まないことが正常である。必要なタンパク質を植物から摂ったほうが、子どものカルシウム・バランスは良くなる」と述べ、1歳未満の子どもは母乳で育てるのが自然で、離乳期を過ぎたら植物性の食品を食べさせましょうと強調するようになったのです。ちなみにこれらの内容はまだ翻訳されていませんが。
『アメリカ人の心臓発作にのリスクは子どものころから始まっており、3歳ですでに、多くの子どもの動脈壁に脂肪が付き始める。12歳の子どもの70%に動脈硬化の初期変化がみられ、21歳になるとほぼ全員に動脈硬化が始まっている。肥満がアメリカ社会全体に蔓延した。アメリカは社会全体で食生活を変えなければならない。元凶の食品は乳・乳製品である。

長い間、医師は子供に大量のカルシウムを摂らないと、大人になってから骨粗鬆症になりやすくなるといい続けてきた。事実、米国科学アカデミーは1~3歳の子どもは一日500mg、4~8歳は800mg、9~18歳は1300mgのカルシウムが必要だと述べている。こんなにたくさんのカルシウムを摂る一番手っ取り早い方法は牛乳をしっかり飲むことである。1998年まで、アメリカは国を挙げて『もっと牛乳を!』という宣伝キャンペーンを繰りひろげてきた。しかし、最近ではカルシウムの必要摂取量を疑問視する専門家が現れるようになりました。骨を丈夫にするのは、カルシウムではなくて運動(身体活動)なのです。よく運動する子供ほど骨が丈夫(骨密度が高い)でした。』

(引用・翻訳おわり)

日本での牛乳産業は7000億円市場であり、その価格も安定しているため巨大な利権を維持したいと考える人たちもいます。牛乳の消費に最も効果が大きいのはやはり学校で生徒に牛乳を飲ませることであり「子どもの健やかな成長のために」というスローガンは受け入れられやすいし、子どもの牛乳飲用習慣(味覚と嗅覚)は大人になっても継続します。そうやって洗脳されている状態では生活から牛乳を排除することは難しいと思うので、あくまでもタバコや酒と同じような嗜好品という認識で口にするのが良いと思います。摂り過ぎれば、なんでも害になるということですね。

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