病気の原因
病気には必ず原因があります。
現段階では原因が明らかになっていない病気もたくさんありますが、多くの病気ははっきりとした原因があります。原因がはっきりしているから予防が可能であり、原因のわからないものは防ぐことは難しいです。
たとえ遺伝的な要素が強くても、しっかりとリスクを管理することで病気の発症を防ぐことも可能なのですが、そのリスクですらあいまいなことが多く、中でも食品からの影響は企業などの利権からくる圧力もあってなかなか明らかになるものではありません。
その訳は、そのリスクを一つに絞って大規模な調査を行うことは現代の食生活では不可能に近いからです。例えば、ある食品添加物の悪影響を調べようと思っても、他の添加物の影響を完全に排除することはできません。倫理上の問題も多く、日常生活に制限をかけるような昔ながら大規模で厳密な調べ方をすることはできません。ですから現状でできることは、自分なりに情報を整理して自分でなるべく気をつけることくらいでしょう。
病気の原因はウイルスや細菌による感染や遺伝子異常からくるものや、公害などの病状が明らかなもの以外ではうやむやになっているものがたくさんあります。日本に数百万人いる糖尿病ですら治療法は確立されておらず、高血圧では数値コントロールのため生涯にわたり薬を飲み続けることになります。
僕の専門は歯科ですから口の中の話をすると、虫歯と歯周病と歯並びの悪さが口腔内の病気の代表的なものになります。歯の神経の炎症が起きたりや歯が抜けてしまうのは、虫歯や歯周病の延長なので虫歯や歯周病を予防することで口の中の問題は一気に少なくなります。
虫歯と歯周病では原因菌は違うのですが、どちらも口腔内のバクテリアによって生じます。バクテリアは単体では大したことありませんが、バクテリアが集まってバイオフィルムを形成すると一気に毒性が強くなって歯が溶けたり、歯茎に炎症が起きます。ですから、バイオフィルムを除去するためにブラッシングをする必要があるのですが、患者さんを見ていると本当に治す気があるのかな?って疑問に思うことがあります。
先日行った勉強会でUCLAの歯周病科の教授がブラッシングも科学だって言ってました。最もベーシックであり、最も意味のあることだと。そこには膨大なデータや裏付けがあります。
ブラッシングを時間をかけてしっかり指導するとほとんどの人は歯周ポケットの中のバイオフィルムまで除去することができてほとんど再発もしません。でも指導する前の状態は、小学校で習った磨き方をずーっと続けていて虫歯や歯周病の治療を繰り返しおこなっていた人ばかりです。虫歯も歯周病も痛みが出るまでは気が付かないですから、正しいブラッシングをしなくても全く気にならず、痛みが出て初めて気をつけるようになります。中には痛みが取れた途端来なくなったり、説明してもブラッシングがほとんど改善しない人もいますが…。
そもそも自分が病気であることに気づいていないことも問題ですが、その病気がなぜ生じたのか、どうやって生じたのか。それが理解できていれば必ず虫歯や歯周病は予防できます。全身的にも病気の80%は環境から生じていると言われてていて、僕もそのとおりだと思います。
バクテリア・唾液(免疫)・栄養状態・ホルモンバランス・遺伝的要因など様々な要素が複雑に絡み合った環境で病気になります。まずは自分の身体を知りその病気を知る、それが予防においてとても重要です。しかし医師、歯科医師に予防に必要な知識を患者に教える時間はありません。治療が忙しいからです。
もし、時間をかけて自分の身体の状態や、なぜその病気になったのかをしっかり説明してくれるドクターに出会えたらとてもラッキーなことでしょう。治療だけでなく、予防までできるのですから。ただ、治療技術だけはしっかり確認しておきましょうね♪