対症療法と原因療法
治療には対症療法と原因療法があることをみなさんはご存知でしょうか?
僕は医療とは疾患の原因、本質を診査で得られた情報から診断し、それに対する治療を提案、実施し、再発防止策や健康増進を啓蒙していくものであると考えています。もちろん歯を削ったり、抜いたりなんて行為はしないに越したことはないので、しっかりとした治療を提案したいと思っていますし、皆さんに真の予防を実践していただきたいと考えています。
対症療法というのは、今ある症状に対して治療を行い、症状を緩和する処置のことです。しばしば、とりあえず治療してほしいという人が来院されるのですが、問題になるのはどこまで治療したいのかがとても曖昧なことが多いのです。『今は忙しいけど、歯は大事だからいずれきちんと治療したい。』とか、『他にも虫歯があるけど今は痛くないので、今回はいいです。』とか、みなさんそれぞれ考えがあるようです。もちろん希望があるのは構わないのですが、本当に悪くなった原因を突き止めず、症状だけを取り除くのはその場しのぎでしかないのです。表面的な症状を『噛み合わせが悪いから削って合わせましょう。』とか、『色があってないからセラミックで合わせましょう。』なんていうのも対症療法です。
木を見て森を見ず。
それが対症療法なのです。もちろん急性症状がある場合には対症療法が必要なこともあります。急性の腫脹(はれ)や痛みには抗生剤や鎮痛剤を投与することもありますが、よほどのことがなければ薬を出すこともありません。
一方、原因療法とはその症状が生じた原因を推測し、取り除くことにより健康を維持することです。つまり、歯が痛い→虫歯を放っておいた理由→虫歯ができた理由→歯科管理の状態(食事・砂糖の摂り方)という具合に考察することができます。原因を取り除かないのに再発防止などできないのですが、勘違いされている方がとても多いのであえて伝えたいと思います。結局のところ、砂糖の摂取を継続している以上虫歯はなくならないと考えていますし、予防と言いながらフッ素を使用することも子供の未来に対して影を落としているのです。今一度、本当の予防の意味を考え直してはいかがでしょうか?