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歯周病菌のお話

ヒトの身体は約37兆個の細胞でできていて、約100兆個の細菌が棲んでいます。口腔内には、このうち約700種類・約100億個の細菌が棲んでいます。

この口腔内常在菌の内、約7割がほぼ害の無い菌(善玉菌)で、約3割が歯周病菌やミュータンス菌(悪玉菌)であるとされています。しかし、免疫が低下したり、歯磨きのレベルが下がるとその割合は変化します。

口腔内の健康を保つためには善玉菌を7割以上にキープする必要があります。しかし、歯周病や虫歯になると悪玉菌が急激に増えてしまいます。親知らずを抜かずにそのままにしていたり、適合の悪い被せ物も悪玉菌を増やす原因です。

この悪玉菌は、虫歯菌のように毒素を放出する(外毒素)グループと、歯周病菌のように菌自体が毒素を含んでいる(内毒素)グループに分けられます。外毒素タイプの菌は毒作用が強く、熱やホルマリンで無毒化させることができます。反対に内毒素タイプの菌は毒作用は弱いのですが、無毒化されにくいという性質を持っています。

虫歯菌のような外毒素グループは急性で発症しやすく、臨床データがとりやすいためエビデンスレベルも高い、つまり予防をしやすい病気といえます。反対に歯周病菌のような内毒素グループは数十年もの長期間にわたって毒作用を示し、生活習慣病を引き起こす原因になります。そのため、臨床データをとりにくく、予防しにくい病気を発症させる原因になります。

現在、この歯周病菌が関係する全身の様々な病気が注目されています。前回、虫歯が進行して神経や血管に細菌や毒素(外毒素)が入り込むと全身に巡って標的臓器を見つけて病気を発症させる事実をプライス博士が証明したことを書きました。

しかし、この内毒素を含む歯周病菌こそ何十年もかけて慢性疾患(生活習慣病)を引き起こし、最も人類の健康を害し続けている張本人です。そして、この内毒素のおかげで現在の医療ビジネスが潤っていると言っても過言ではないのです。

虫歯菌や歯周病菌が血液の中に入り込むことを菌血症と言います。血管に入り込んだ細菌はアテローム(粥種)性プラーク(血管病変)を形成します。このアテローム性プラークが、血管を老化させダメージを与えていきます。その結果、血管が炎症を起こし活性酸素を発生させ、動脈硬化や血栓を作る原因になります。

さらに、菌血症の内毒素から生じる病気はガン・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病・慢性関節リウマチ・脳脊髄膜炎・心内膜炎・血行性肺炎・急性虫垂炎・肝臓腫瘍・脾臓腫瘍・早産・低体重児出産・認知症など多岐にわたります。

身体の中でもっとも菌血症を起こしやすいのが歯周組織、つまり歯肉と歯の間のポケットからです。口は身体の中で唯一、硬組織(歯)が軟組織(歯肉)を貫いて出てきている器官なので、その結合部は非常に弱く容易に感染を起こす訳です。

つまり手術を避けたいがために歯肉に炎症を残したまま様子を見ましょうとか、親知らずを抜けないから抜かないとか、プラークコントロールが悪いことを見て見ぬふりをする歯科医がこれらの病気を作っているようなものかもしれませんね。患者の希望を最優先にするのではなく、ダメなものはダメとはっきり言えて、ちゃんと説明のできる歯科医って、いったい世の中にどのくらいいるんでしょう?

歯周病は症状が出ないまま進行することが多いので、知らないうちに細菌が血中に入り込んでしまいます。ですから定期的なチェックや、予防の意識はとても重要です。しかし、悪玉菌が増えるのは糖質中心の食生活であるがゆえ。つまり糖質を摂取しなければ悪玉菌も増えませんし、病気のリスクもぐっと下がるんですけどね♪ ホント砂糖って身体にメリットありませんね。。。

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