睡眠
シルバーウィークも終わり、いよいよ秋本番になってきましたね。
僕はこの連休は栄養学の勉強会とお休みとで半々でしたが、久々にゆっくりと眠る事ができました。十分な睡眠時間を得て驚いたのが、いつも頭にまとわりついていた問題の解決策が目覚めと同時に思いついた事です。そして忘れないうちにメモをとったわけですが、十分な睡眠がひらめきを起こしたと考えられるのではないでしょうか?もちろん気持ちがリラックスしていて頭の思考回路がフレキシブルになっていたということも、関係しているかもしれませんが…今回は睡眠について述べてみたいと思います。
そもそも生物は何のために眠るのでしょうか?
睡眠研究の世界的権威であるロバート・スティックゴールド医師は、「この明らかな精神と肉体の休息、健康でいるために誰もが毎日必要とするこの死に近い状態が、一体何なのか全く分かっていない。」と述べています。要するに科学では、睡眠の実態は何も解明されていないというのです。そして、こう続けます。「十分な睡眠をとらなければ、最終的には太って、病気になって、バカになるでしょう。」
睡眠不足によって肥満になるのは、インスリン抵抗性が発現し、ストレスホルモンであるコルチゾールが増え、食欲も増え、満腹感は減り、血糖値が上昇するからです。度が過ぎれば内臓と人格が損なわれ、益々ホルモンバランスを崩し、肥満への一途をたどることとなります。
次に病気になりやすくなるのは、睡眠不足が免疫を著しく低下させるためです。これはワクチンの実験で、睡眠十分な人たちと睡眠不足の人たちで抗体の量が2倍位上異なったことにより証明されています。
そして、バカになるということも多くの研究で証明されています。脳にとって睡眠は、日中に記憶した不要な情報を捨て、剪定し、整理して残った情報からパターンを形作り、そのパターンを理解するための時間なのです。実際、グーグルやナイキ、P&G、シスコシステムズなどの企業では社員の生産性と創造性を高めるために就業中の仮眠を許可するようになりました。スティックゴールドは、「日中に2時間、情報を取り込んだら、その意味を理解するために脳は1時間の睡眠を必要とする。」とも述べています。
上記に関連して、ガンになりやすくなるとか老化が早まるなどの問題も指摘されています。健康を維持するためには睡眠はとても重要なのです。では睡眠の質を上げるためにはどうすれば良いのでしょうか?
睡眠を専門とする人類学者であるキャロル・ワースマン博士は、睡眠の様々な要因を研究しています。彼女いわく、そもそも人類(狩猟採集民族)はライオンと隣合わせで夜も眠らなければなりませんでした。ですので仲間を守るため、誰かが見張りとして起きていなければなりませんでした。そこでワースマンは、ヒトは年代によって概日リズム(サーカディアンリズム)が異なることに着目しました。そして、子供から老人までの35人ほどの集団であれば、夜間のどの時間も必ず誰かが起きていることになると結論づけています。
つまりヒトは本来、集団で寝るようにできているのです。ほぼ全ての文化において家族が一緒に寝ることが(交互に眠るのと同じく)当たり前になっている理由が明らかにされつつあります。よくよく考えれば、子供の寝息が聞こえたり、犬のリズミカルないびきが聞こえたり、パートナーの寝言が聞こえたりした方が安心して眠ることができますよね?そういった状態だとより熟睡しやすいので睡眠の質が上がりやすくなります。
結婚している人やペットを飼っている人の方が、独身の人よりも長生きするという報告もあります。この理由も集団で寝る方が熟睡できるからなのです。
以上のことから、今回僕が熟睡出来たのも、家族でゆっくり寝ることができたことができたからなのだと思います。欧米では子供を一人で寝かせる家庭がほとんどですが、思春期を迎えて一人で寝たがるまでは、家族全員で寝るほうが子供の睡眠の質も高めることができるのではないでしょうか?そう考えると、学生時代の授業中に友だちに囲まれて居眠りするのがとても心地よかったのも頷けますね♪きっと記憶の整理をするのにも必要だったのでしょう。