噛み合わせの治療
「噛み合わせの悪さ」を感じる原因
継続的に「噛み合わせの悪さ」を感じる場合、それは何らかの疾患を伴っている可能性があります。その可能性として考えられる疾患は以下です。
顎関節症
顎周辺で違和感がある場合、顎関節症が原因の可能性が考えられます。
顎関節症は、身体のさまざまな部位の筋肉および筋膜がねじれを起こすことにより、顎周辺の筋肉に悪影響をおよぼし引き起こされます。
その結果として起こる顎の違和感が「噛み合わせが悪いな」という感覚を生み出していると考えられます。
咬合病
顎関節症の大部分は生活習慣によって引き起こされますが、咬合病はそれとは違い注意が必要です。咬合病を引き起こすのは、歯の治療そのものなのです。
「歯の治療をしたのに歯が悪くなるなんてあるわけない」と思われるかもしれませんが、これが意外に少なくないのです。
虫歯の治療で歯を削った経験がある方は数多くいらっしゃると思いますが、実はこうした一般的な歯科治療でも咬合病を引き起こす可能性があります。
虫歯を削ることにより、歯の高さが変わってしまい、それまでと当たるポイントがずれ、結果として噛み合わせの違和感を生み出してしまうのです。
顎関節症や咬合病放置すると
一般的には、以下のような症状が出る可能性があります。
1.頭痛
2.肩こり
3.首の痛み
4.腰痛
5.腕のしびれ
6.耳鳴り
これらの症状の全ての原因が噛み合わせにあるというわけではありません。原因が全く別のものという可能性も十分に考えられます。
しかし、噛み合わせが悪いという自覚症状とともに、上記のような症状にも悩んでいるという方は、噛み合わせを改善することが、その他の症状の改善の近道となる可能性は十分に考えられます。
改善方法
行動療法、運動療法
肩上部や首のストレッチは非常に効果的です。
噛み合わせの不調が顎関節症などに由来する場合は、顎関節症の治療方法として行動療法・運動療法が有効的です。
生活習慣上問題となる行動(足を組むなど)の改善、正しい歩き方を学びウォーキングをすること、ストレッチやご自身で行うマッサージなどを行うことにより、崩れてしまった身体のバランスを取り戻します。
そうすることにより、顎関節症の症状が改善し、噛み合わせの改善も期待できます。
補綴(ほてつ)治療
「虫歯治療などで天然歯を削りすぎてしまった」「インプラントを埋入した際の上部構造が身体に合っていない」など、歯科治療が由来となって起こってしまった噛み合わせの悪さ=咬合病を改善するためには、補綴治療が必要となります。
※「補綴」というと少々聞きなれない単語ですね。
一般的には「身体の欠損した部位の形態と機能を人工物で補うこと」をいい、歯科の分野ではインプラントや義歯(入れ歯)といった歯の欠損に対する治療や、虫歯の治療によって削った歯の詰め物などの作製も補綴治療の分野となります。
髪の毛を1本噛んでも感じる繊細な感覚を持つ天然歯の機能を取り戻すために、非常に丁寧で精密な作業が必要となります。
放置は禁物
「噛み合わせが悪い」という違和感を放っておいてよいことは一つもありません。
身体的なストレスはやがて精神的なストレスとなり、それがまた身体にも悪影響をおよぼすため、負のスパイラルに陥ってしまう可能性があります。
そうした負のスパイラルに陥らないためにも、噛み合わせの違和感に関しては、早目の対処を心がけましょう。
噛み合わせは全身の健康と密接につながっており、改善することによって、身体全体の健康、健全な日常生活など、大きなメリットを得ることができます。
「ただの歯科治療」ではなく、「生活の質の向上」のきっかけとして、噛み合わせと向き合ってみてはいかがでしょう。