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インプラントの長期予後③

③生活習慣からくる免疫の低下

いよいよ本題です。
生活習慣は、その人の感情や免疫、病気の発症に最も強く関係します。
生活習慣の中でオーラルクリニック宮崎台で指導するのは主に食事になりますが、入浴の仕方や呼吸法、起床の仕方やベッドに入るタイミングなど多岐に渡ります。
それらを全部挙げるとキリがありませんが、いくつか紹介したいと思います。

まず、口呼吸。
口呼吸は代謝を乱し、低体温の原因となります。
口呼吸の原因は子供の頃からのクセですが、その一つとして食べ物をよく噛まないことが挙げられます。
口を閉じてモグモグ噛むためには、鼻で呼吸しなければなりません。
子供の頃から、食べ物をお茶で流し込んだり、丸呑みをしたり、柔らかいものばかり食べていると、あまり噛まないで食べるようになります。
結果、口がポカンと開くようになり、口呼吸が習慣化します。
更に、食べ物をよく噛むためには食塊を舌で歯にのせる動きを繰り返す必要があります。
つまり、よく噛むと自然に舌の筋肉をよく使うため、舌の位置が安定します。

普段、下の先端が上の前歯の生え際あたりにあると正常な機能といえます。
しかし、口呼吸の人の場合、そこに下があると鼻呼吸にならざるをえないため、苦しくなってしまいます。
ですので、舌はいつも下顎の歯に触れていて、空気の通り道を確保しようとしてしまいます。
そして唇が閉じていても空気が出し入れできないため口呼吸となります。
よく噛むということは、食べ物が小さくなり、唾液がよく混ざるため、栄養の吸収も良くなります。
口に入ってくる乳酸菌なども唾液中のIgAという物質とくっつくと、胃を通過して腸に定着しやすくなるという報告もあります。
さらによく噛むことで、舌や顎の筋肉も発達するため、子供の頃に顕著な顎骨の成長にも影響を与えます。
上顎の口蓋のすぐ裏側は鼻腔なので、顎骨が正常に発育すると鼻腔もともに広がっていきます。
つまり、子供の頃から口を閉じてよく噛むことで口呼吸を予防することができます。

子供の頃から口呼吸で顎骨の発育が悪いと、歯並びも乱れてしまいます。
そして、出っ歯や受け口になると、口唇を閉じることが困難になり、鼻呼吸を意識しても口輪筋にストレスがかかるため自然に口が開いてしまい、無意識のうちに口呼吸となるのです。
口呼吸の人は、鼻呼吸の人に比べて交感神経が優位な人が多く、気性が激しかったりイライラしがちであったり血圧や血糖値が高く慢性疾患のリスクも高く、免疫が弱い傾向が見受けられます。
それは、柔らかい食べ物を好むため、栄養価の低い食べ物が多くなったり、糖質中心の食生活になることで、血糖値の乱高下を繰り返し、ホルモンの分泌も乱れてしまうからだと考えられます。
また、口呼吸だと口が乾燥しやすくなるため、抗菌作用や粘膜保護作用をもつ唾液が行き渡らず、食べカスも洗い流すことが困難になり、歯周病や虫歯のリスクも高まります。
ですので、インプラントにも当然悪い影響が出てしまいます。
以上のように、口呼吸は直接的にも間接的にも歯や歯肉に悪影響を与え、インプラント周囲炎のリスクを高めてしまいます。

口呼吸を改善するには、歯並びが整っていることや、意識的に口唇を閉じてよく噛むことが重要です。
ちなみに当院では、一口につき30回は噛むように指導しています。

続く

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